2013年12月27日金曜日

鮮度リターン

振り返る必要はない。

戦場のピアニストに出てくるような

荒廃とした街を背に

自分の過ちが

そこら中に散らばっている。

それは黒いプラスチックで出来た縫いぐるみの目

それは日傘をさした貴婦人の肖像画

粉々になった窓ガラスと

黄色く澱んだビル風が

足元から全身へと

巨大なカタツムリが這うように

僕を包み込む。

それは思い出の欠片

それは記憶の中で作られる出来事

今を生きる なんて言葉は嫌いだ。

本当は振り返りたくないだけなんだ。