練馬の家
荷造りは今日で全て終わり
外したカーテンを布団がわりに
仰向けに寝てこれをしたためている
この家に越して来た時は
俺は前のバンドがまだ存続していたし
当時、結婚する予定だった彼女と
暮らし始めた部屋だ
猫も4匹いて
全部出て行ったあいつが連れて行ってしまったけれど
元気にしていてくれたら嬉しい
見たくもない写真や
アルバムばかり
押入れの奥からわんさか出て来て
なるべく無心で捨てる作業をこなしたけれど
こうやって天井を眺めていると
自分の道は外れた道で
ずっと罰を喰らってるみたいな
嫌な気分になる
外は夕暮れ
引っ越した先も西陽が美しい場所を選んだ
人生で5度目の転居
当たらない天気予報のように
何時間後に自分が生きてるのか
死んでるのかも知らない
知るという事はそんなに素晴らしい事だろうか
それすらも今は知りたくもない
早く
連れ出して欲しい
早く
逃げ去ってしまいたい。
